鍼灸の受け方

鍼も灸も、身体に適切な刺激を与えて、治す力を引き出すものです。

最初は優しく、負担のないように刺激しますので、どうぞ鍼灸の優しさを感じてみて下さい。
鍼灸を通して、身体の治癒力を受け入れてみましょう。

慣れてきたら、より感覚を感じ入るようになれますし、自分の身体は今どうしてもらいたいのか分かるようになってきます。
鍼灸師はそのお手伝いをします。

治癒に導くのは鍼灸技術だけではありません。刺激を感じ取る貴方、鍼灸師、そして鍼灸技術が融合して解決策を見いだしていくものなのです。

鍼灸適応症(効能)

鍼灸は西洋医学的にも認められた治療法です。WHOや厚生労働省などでも適応が認められています。

神経系神経痛(三叉、肋間、坐骨など)、頭痛、歯痛、ヘルペス、顔面神経麻痺、しびれなど
運動器系五十肩、むち打ち症、頸肩腕症候群、腰痛症、ギックリ腰、椎間板ヘルニア、変形性膝関節症、関節炎、リウマチ、肩こり、寝ちがい、筋肉痛、捻挫、テニス肘、腱鞘炎など
消化器系胃炎、胃下垂症、胃酸過多症、胃痙攣、胃・十二指腸潰瘍、口内炎、慢性肝炎、胆石症、慢性腸炎、便秘、下痢、痔疾など
循環器系高血圧症、低血圧症、心臓神経症、動悸、浮腫、冷え性など
内分泌系糖尿病、甲状腺機能障害、痛風など
呼吸器系風邪、扁桃炎、咽頭炎、気管支炎、喘息、咳など
泌尿器系慢性腎炎、膀胱炎、ネフローゼ、前立腺肥大など
感覚器系眼精疲労、仮性近視、白内障、鼻炎、副鼻腔炎、耳鳴り、メニエール症候群、めまいなど
婦人科系生理痛、月経異常、乳腺症、更年期障害、冷え、のぼせ、つわりなど
小児科系小児喘息、夜尿症、夜泣き、かんの虫、消化不良、虚弱など
その他自律神経失調、不眠症、ストレス性疾患、心身症、アレルギー、アトピー性皮膚炎、慢性疲労、成人病の予防など

鍼(ハリ)治療ってなあに

「鍼(ハリ)」と聞いてご不安になる方も多くいらっしゃるでしょう。

鍼灸師はできるだけ痛くないように心がけています。
鍼が入る感覚として、受けられた方からは全然分からなかったと仰っていただくことが多いのですが、気をつけていてもどうしても痛点や毛穴に鍼が当たるとチクンと痛みを感じることはあります。
また、「鍼管」という周囲に圧をかけてくれる筒状の道具が刺激を緩和してくれます。

注射針の太さは、インフルエンザの予防接種などで0.5mm、採血用で0.7mmです。
当院で使用する鍼はそれらより細く0.16mm~0.20mmです。

お顔用の鍼は更に細く0.10mm~0.12mmです。
ちなみに髪の毛の太さは0.1mm程度です。
鍼治療の鍼はとても細く繊細であり針と鍼は違うのです。

それぞれ先端の形も異なり、注射針は先が尖り皮膚を切り裂く形状になっています。
一方、鍼灸用の鍼は皮膚をくぐり抜けられるよう丸い形状になっていますので痛みはより少ないです。

患者様の許容量を見ながら治療に必要な鍼で効果を発揮していきますのでどうぞご安心ください。

また、「ひびき」と言って硬くなった筋膜に鍼が当たると「ズーン」と鈍い感覚があります。ひびきのことを得気といって効果があると言われています。

凝り固まって太くなった筋肉が神経を締め付けている場合は信号が流れにくくなっています。鍼により筋肉が緩まると信号が一気に流れ始めるので電気が走るような感覚を受けるかもしれません。

鍼が怖い方、不安が強い方にはできるだけ細い鍼を選ぶなど工夫致しますので遠慮なく伝えてください。
刺さない鍼もございます。

鍼を抜いた後もしばらく鍼の余韻が残るかもしれませんがその日から数日のうちにおさまりますのでご安心ください。身体が鍼刺激を受けて修正され馴染もうとしている期間です。もしご不安な時はいつでもご連絡ください。

まれに鍼治療をした後に内出血を起こし、痕のようになることがありますが数日~数週間で消えます。長期で残るような傷跡にはなりませんのでご安心ください。

治療には衛生的なディスポ鍼(使い捨て)を使用しています。一回の施術ごとに破棄しております。使い回しはありませんのでご安心ください。

治療期間は、個人差や不調の度合いによりさまざまです。1回で治ることもありますし、しばらく治療が必要なこともあります。

治療効果は急性症状ならば早い人で直後から実感いただけますし、慢性化している場合は徐々に効果を実感される方が多いです。症状が良くなってきたら週1回から隔週に、1カ月に1回になどご相談させていただいています。

鍼は素晴らしいものですが、鍼だけですべての問題が解決するわけではありません。鍼をうまく利用して、心身全体を整えて、健康的な生活を楽しむようにしましょう。仕事や家庭のストレスをうまく分散させましょう。

初めての治療にはご不安があって当然です。お気持ちに寄り添いながらお話を伺い、症状のご説明、治療相談をさせていただきます。

お灸の効能

緊張したまま硬くなった筋肉は血流が滞り冷えが生じます。
ケガ、姿勢、ストレスなどが原因のことも多いです。

お灸は"温熱刺激"です。

温熱刺激によって血管を拡げ、中を通る血液の量を増加させたり、白血球などの免疫担当細胞を活性化させることができます。

お灸によってじんわり温めてあげることで、「緩んでもいいよ」と身体に教えてあげるのです。
鍼と同様に、お灸が直接治すのではなく、その暖かさで身体に教えてあげる役目なのです。

お灸の原料となるもぐさは、乾燥させたヨモギの葉の裏側にある線毛(=白いふわふわした部分)を集めて精製し取得したものです。

鍼灸の学校では、実際に河川敷でヨモギを採取して、お灸を作る実習もあるのですよ。
西洋語ではmoxaとして取り入れられています。

ヨモギには"薬効"もあります。

ヨーロッパでは”ハーブの女王”といわれるほど、さまざまな効果のある薬草で、食物繊維、クロロフィル(葉緑素)、ミネラルが豊富で、浄血、増血作用のほか、止血作用もある万能薬です。昔から自然治癒力や免疫力を高める作用があると言われております。

食べたり、漢方薬として服用する、お風呂に入れるなど病気予防や健康増進のために使われてきました。

もぐさには精油成分が含まれており、その50%はチネオール、その他ツヨン、テルペン、アデニンなどが含まれております。

難しい成分名ですが、これらはタバコのニコチンやタールとは異なり発ガン性物質は含まれておりませんのでお灸の煙を吸っても大丈夫です。ご安心ください。

精油成分(エッセンシャルオイル)であるチネオールが含まれており、ここちよい芳香を発し、炎症や痛みを和らげる作用があるとされています。

また、最近の研究ではもぐさ燃焼時の香りが、自律神経の副交感神経を亢進させる、つまり身体をリラックスさせる効果があるという研究結果があります。

当院でのお灸はものすごく熱いのを我慢させるものではありません。全く何も感じないのも効果がありません。

患者様の負担になる治療はしませんのでご安心ください。